長崎の老舗カステラ御三家とは

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カステラの本場といえば長崎。九州旅行などで土産に選ばれることも多い長崎カステラ。

今では多くの店舗でも購入できるようになったカステラ。
もとは日本発祥のお菓子ではないのですが、日本の歴史や文化が深く関係して誕生したものなのです。

地元民が選ぶ : 長崎カステラ店舗

カステラの起源

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長崎カステラのルーツとなる菓子は、16世紀頃にポルトガルから伝わった菓子を元に日本で独自に発展した和菓子です。
そのため、ポルトガルには『カステラ』という名の菓子はなく、貿易で長崎に持ち込まれた原型とされる南蛮菓子も、カステラとは見た目も製法も異なるものでした。

現在、カステラの起源と言われている説は三つ。

カスティーリャ王国(Castilla)時代のパン・菓子のほか、スペインの焼き菓子『ビスコチョ』や、ポルトガルの焼き菓子『パン・デ・ロー』だという説がある。

カスティーリャ(Castilla)
スペインの前身であり、イベリア半島中央部に位置していたカスティーリャ王国で食べられていたパン・菓子の意味との説。
ビスコチョ(Bizcocho)
スペインの伝統菓子で、材料は小麦粉と卵と砂糖。形状は細長い乾パン。
ラテン語でビスコッチョという言葉は、ビス(Bis)とコッチョ(Cocho)に分解できます。
ビスは二度の意味であり、コッチョは熱を加えることなので、二度焼いたパンを意味し、非常に堅く乾燥していて甘さの少ない日持ちのよい保存食でした。
パン・デ・ロー(pães de ló)
ポルトガルの修道院生まれの菓子で、材料は小麦粉と卵と砂糖を泡だて器でかき混ぜて焼き上げる。形状は円形で中央に穴が開いている。
キリスト教行事に食べる伝統菓子で、とくに北部でよく食べられる。ナイフで切り分けるのではなく手でちぎって食べるのが流儀。

これら三つのパン・菓子の食材は、小麦粉と卵と砂糖と日本のカステラと同じでした。

200年以上続いた鎖国の間も、日本に渡来した当時の南蛮菓子は、その後日本人により日本人の嗜好に合わせて材料の配合・形態等に創意工夫が加えられ、技術の改良が重ねられて、より美しくより柔らかく、よりしっとりした現在のカステラへと変化しています。

長崎カステラ御三家

異国情緒が豊かで、その歴史も深い長崎の伝統的な和菓子『長崎カステラ』。

ポルトガル人が南蛮貿易の際に日本に伝えたと史実にありますが、『どこの誰にカステラを伝えた』といった正確な資料はほとんど残っていません。

一部の資料には、1587年頃に長崎金屋町で南蛮菓子商を営んでいた『村山 等安(むらやま とうあん)』が、当時の豊臣秀吉に南蛮菓子や南蛮料理を献上したとの記述がある。
秀吉はカステラをとても気に入り、のちに等安は長崎の代官に任命される。

秀吉の後ろ盾を得て地位を固めた等安は、長崎カステラの普及に貢献し、カステラづくりの老舗を創業させるきっかけをもたらしました。

このような時代背景があり、長崎には多くのカステラ製造業者が誕生していきます。

『長崎三大カステラ老舗』として歴史があり有名なのは『福砂屋』『文明堂』『松翁軒』の名店です。

長崎カステラ御三家 : 創業開始時期
創業年 店名(屋号)
1624年(寛永元年) カステラ本家 福砂屋
1681年(天和元年) 松翁軒
1900年(明治33年) 文明堂総本店

カステラ本家 福砂屋

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1624年(寛永元年)創業の福砂屋は、400年という長期間にわたりカステラを作り続けている老舗。また『カステラ本家』という登録商標を持ち、長崎カステラ製造業者のなかでも最も歴史のある名店。

福砂屋のカステラづくりは創業以来、手作りによる独自の伝統製法でカステラを作る。これは『一人一貫主義』と呼ばれる方法で、卵を割るところからカステラ職人の手によって作られ、一人の職人が最初から最後まで手作業で仕上げる。

ポルトガル人から直伝を受けたとされるこの製法を、400年のあいだ、今日まで守り続けている。

熟練されたカステラ職人の繊細な技術により、ふわふわのカステラが完成する。これこそが、福砂屋のカステラが愛され続ける理由のひとつでしょう。

福砂屋のお菓子には、伝統的な長崎カステラと、福砂屋が創案した砂糖と卵が多く粉を少なくした『特製五三焼(ごさんやき)カステラ』がある。
その他にもココア・胡桃・レーズンの入った『オランダケーキ』、2切れのカステラが小箱に入ったキュートパッケージの『フクサヤキューブ』、カステラ以外にも『パンデローケーキ』『手づくり最中』などがある。

福砂屋 長崎本店 : 店舗情報
電話番号
095-821-2938
アクセス・地図
長崎県長崎市船大工町3-1
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営業時間
9:30〜17:00
定休日
水曜日

松翁軒

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1681年(天和元年)創業の『松翁軒(しょうおうけん)』は、約340年のあいだ菓子づくり一筋に精進を重ねている。店舗は長崎と福岡の二店舗だけにしかない、希少な長崎カステラの老舗。

歴代の菓子職人達は、創業から長崎カステラや砂糖漬けなどの製造を始め、ざぼん漬けのほか、当時珍重されていたチョコレートを使った松翁軒オリジナルのカステラ『チョコラーテ』を発案して販売。

創業以来、受け継がれ進化してきた伝統の製法により、熟練した職人がそれぞれの窯で一枚ずつ丁寧に焼き上げるカステラは、シンプルながらも、奥深い味わい。
その日の天候や気温によって製法も微妙に異なるため、職人のわざと勘がカステラづくりに活かされています。

松翁軒本店 : 店舗情報
電話番号
095-822-0410
アクセス・地図
長崎県長崎市魚の町3-19
Google Map
営業時間
9:00〜18:00
定休日
松翁軒 長崎カステラ
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文明堂総本店

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1900年(明治33年)創業の『文明堂総本店』は、23歳の青年がはじめた長崎カステラ専門店。
開店数年後の日露戦争で原料が入らない危機に見舞われるものの、唯一手に入った水飴を原料とした新商品『桜飴』が大好評となり経営危機を乗り越えた過去がある。

文明堂総本店が焼き上げるカステラの原料は、カステラ専用卵『南蛮卵』のほか、粒度が細かくグルテン形成が少ない『国産小麦粉』、純度の高い『ざらめ糖』、独特の風味をもつ九州産『もち米水飴』を使用する。
これら厳選された材料により、豊かな味や香り、新鮮な卵ならではのコク、そして黄金色とも言われるカステラ本来の色と艶をもつ長崎カステラが作られています。

複数の『文明堂』

現在、主要都市部で経営展開する複数の『文明堂』。
戦後に長崎の総本店から地方支店を経営分離したことにより、「文明堂」と付く企業が複数存在している。

なお、発祥・本家は長崎の『文明堂総本店』です。

各社が扱う商品については、カステラ・カステラ巻と三笠山(どら焼き)などがあり、菓子製造から撤退した『麻布文明堂』を除いた6社すべてが製造する。ただし、各社が製造するカステラの風味などには差異もあり、それぞれが異なる商品も扱っています。

文明堂各社特有の商品展開
会社名 商品
文明堂総本店 桃カステラ、レモンケーキ、合わせ最中、ようかん、さざれ菊
文明堂神戸店 爛華カステラ、栗饅頭、半月最中
文明堂
(横濱文明堂)
極上金かすてら、サブレ
文明堂東京 特撰五三カステラ、ハニーカステラ、おやつカステラ、特撰ハニーかすてら吟匠、月三笠、黄金三笠山
文明堂銀座店
(銀座文明堂)
バームクーヘン、ブッセ、ボワイヤージュ
浜松文明堂 ハニーカステラ、茶ってら、お茶みかん

のれん分け

大阪・心斎橋筋商店街に本店を構える『銀装』や、東京・千歳船橋の『文栄堂』は、文明堂からのれん分けされた企業。
銀装と文明堂東京、どちらも高島屋日本橋店(本館地下1階)と近鉄百貨店上本町店(地下2階)に出店している。

文明堂総本店 : 店舗情報
電話番号
095-824-0002
アクセス・地図
長崎県長崎市江戸町1-1
Google Map
営業時間
8:30〜18:00
定休日

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